第107回 “今年一番の出来事”

私は以前から仏像に興味があり、上野などで仏像展があるとよく見に行きます。

比叡山 延暦寺で33年振りにご開帳となる本尊釈迦如来を新聞で知り、10月25日に行ってきました。しかも日帰りで…
東京→京都へ。そこから比叡山に行くには4つのルートがあります。2つは車で行くコースなので今回は無し。
あと2つはケーブルを乗り継いで行く琵琶湖経由のルート、もう1つは京都市外から電車、ケーブル、ロープーウェイで行くルートです。

琵琶湖の湖西線はちょいと遠回りなのですが、ロープーウェイが比叡山の「根本中堂」のふもとまでき行っているので、そのルートを選択し、湖西線 坂本駅へ向かいました。

東京から3時間半、坂本駅に着いてケーブル行きのバスを待っていると、タクシーの運転手さんが「今日は一昨日の台風21号の影響でケーブルは運休しているよ」との事。
「エ〜〜!!」どこにもそんな事書いてなかったのに!!
どうすれば良いか聞くと「京都へ戻るしかないよ」との事。

どうやら京都方面からのケーブルは動いている様子。
慌てて京都駅に戻り、タクシーで「出町柳駅」へ30分位かかって着き、切符を買うところでどうも台風の影響で比叡山は閉館しているらしい？との事。
「エ〜〜!!」と2度目。

京都観光に変更するかどうか迷った挙句、ここまで来たからケーブル駅まで行こうという事になり、電車に乗って「八瀬駅」へ。

車両は1両編成の市電。そこそこ満員、20分位で到着。
歩いて5分位のケーブル駅へ切符を買おうとしたらチケット売り場の女性が「ケーブル、ロープーウェイは動いておりますが、断水、停電のため比叡山は閉館していますがよろしいですか？」
本日3度目の「エ〜〜!!」ダメかぁ〜
女性曰く「しかし今日は天気が良いので山頂からの眺めは最高です」う〜〜ん、ここまで来たからには景色だけでも見ていくかという事で、覚悟を決めて乗車。

けっこういた人達は皆予定を変更してしまい、ケーブルに乗った人は6名のみ。そしてロープーウェイを乗り継いで山頂へ。

琵琶湖 比叡山山頂からの眺め

いやぁ、絶景！絶景！素晴らしい眺望！これが見られたから良しとするか、と思いましたが、ここまで来たら「お堂だけでも見ていこうか？」とバスに乗って15分。比叡山 秘仏のある西塔へ。
御本尊は見られなくてもお寺ぐらいは見ようと…

入り口の拝観料金所はやはり閉まっていて、ひっそりとしています。 歩いて行くと釈迦堂が見えてきました。

せめて御参りでもと正面の階段を登ると、中にお坊さんがお二人いらしており「こちらから中へどうぞ」と、本日4回目の「エ〜〜!!」
ちょっと耳を疑いましたが、「本当に入っていいんですか？」と聞くと、「いいですよ！」
靴を脱いで入らせていただき、中へ案内されました。

釈迦堂

中に居るのは4名のみ（私夫婦と、また別の夫婦）。

「本日はあいにく先日の台風で停電、断水しております。誠に申しわけありませんが、本日は蝋燭のみで灯を取っております」と。
（いやいや中に入れていただくだけで有難い）と思っておりますと、お坊さんが「しかしこの蝋燭での御参りこそ本来の姿でございます。今日来られた貴方がたは大変貴重な体験ができますよ」と。

確かに昔は電気など無いのだからこれが本当と、すごい事じゃ無いかと鳥肌が立ちました。

お坊さんの説明を受け、頭をチョンチョンとお祓いしてもらい、33年振りの秘仏 本尊釈迦如来、それを守護する四天王像、内陣の四つのお社（やしろ）それらのお扉は今回初めて開くとの事。すごい時に来たなと思いながら、ゆっくりゆっくり見て回る事ができました。

そして東塔の「根本中堂」へ。
大木の杉が倒れており、すごい風だった事が分かりました。
「根本中堂」の中も真っ暗で蝋燭の灯が広い内陣を照らしていました。 ここでは私たち夫婦と、一人の女性の三人だけでした。

静寂な空間にお経が響いていました。

日帰りの旅、前半はどうなるかと思いましたが、忘れられないすごい一日を過ごしました。
あきらめないで良かった〜
この不思議な縁を大事にしたいなと思いました。

皆様にもこの縁が届きますよう。

今年一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。